中途半端な旅の記録とみのまわり

こちらにお引越しして間もないので、まだ新しい記録はまとめられていませんが、ゆっくり慣れていきます

大地の芸術祭ラストスパート 越後妻有は秋の気配 松之山エリア編


8月にも訪れた、新潟の十日町市周辺で行われていた越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭

9月17日で会期は終了しましたが、9月6~9日に2度目の芸術祭巡りをしたときの記録をまとめます。

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大地の芸術祭は3年に1度行われていて、おそらく次回も公開されるだろう作品や常設で展示が続いている作品もありますので、そういった情報も付け加えながら書き留めていきます。

施設名をクリックするとグーグルマップに飛びます。

大地の芸術祭は6つのエリアから構成されていて、前回は松之山にある森の学校キョロロ」を紹介しましたが、今回も松之山エリアのほかの作品を。


まずは1000点以上の調理器具が真っ黒に塗りこめられた古民家に映える「黎の家」

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ここは2009年より公開されている作品で、次回の会期にも公開されるはずです。

お休みの間は特別なイベントのとき以外は閉館しています。

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トイレやお風呂もすべて墨の黒で塗りこめられていて屋外の光や豆電球の灯りが軽やか。

徒歩3分ほどの位置に駐車場があります。


次は家の内部が蚕やクモのような何かに占拠されてしまったかのように糸に包まれている「家の記憶」

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塩田千春さんというベルリン在住の日本人の作家さんの作品です。

こちらも次回の芸術祭にも登場するはずです。

会期以外にも不定期で開館するようです。

糸を張り巡らせるのに5人のスタッフで2週間の作業だったそうですが、想像しただけで気が遠くなりそうなほど。

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捨てられずにいた道具の数々を空き家にしみ込んだ家の記憶として表現しています。

この作品も含め、後の記事で登場する「脱皮する家」など、糸を張る、木を彫るなど、ひとつの作業を気が遠くなるほど続けただろう作品に対して、私の友人が「狂気の沙汰」という賞賛を贈ったので、私たちは「狂気の沙汰シリーズ」と呼んでいます。

ちょうどツアーでやってきたオーストラリア人の一団は入るや否や「WOW 」言うてました。

そういえば、今回9月8日(土)に、まつだい農舞台で、オーストラリアの原住民族アボリジニディジュリドゥ奏者であるジャルー氏と日本人ディジュリドゥ奏者のGOMAがコンサートを行ったのですが、このオーストラリアの一団は、そのコンサートを中心に日程を組まれたツアーに参加しているようでした。

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オーストラリアは、2000年の大地の芸術祭から「人間は自然に内包される」というコンセプトに共感してこの芸術祭に参加していて、オーストラリアハウスという宿泊施設兼情報発信基地も松之山エリアにあります。

今回はまつだい農舞台で「イダキ:ディジュリドゥとオーストラリアの大地の音」展が開催されていて、ディジュリドゥという楽器に馴染みがない人もコンサートまでにディジュリドゥの音や振動に触れることができるしかけになっていました。

前回訪れた際の記録にまとめています→大地の芸術祭 まつだい農舞台編

もともとこの展示は昨年南オーストラリア博物館で開催されて話題になったもので、今回は大阪のドットアーキテクツという建築事務所が展示構成を担当しました。

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このコンサートを私も楽しみましたが、ジャルー氏だけでなくジャルー氏の息子さんたちのバンドも参加して、さらにアボリジニのダンスも盛り込んだ構成で、GOMA氏のバンドGOMA and Jungle Rhythm Section が終盤を担い、会場はとてもいい雰囲気でした。

ちょっと話が脱線しましたが、松之山エリアの作品に戻ります。

今回好きな作品ベスト5に入る「最後の教室」

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旧東川小学校の校舎を使って公開されています。

芸術祭の会期が終わっても、秋プログラムとして、9月22日~10月8日の土日祝のみ公開される予定です。

会期中はパスポートで入場できましたが、通常は一般500円、小中学生250円。秋プログラムは共通のチケットがあり、そのチケットを提示すれば1回のみ入場が無料です。

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フランスの現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキージャン・カルマンの共作で、体育館の作品などは目が慣れるまで動けないほど暗いです。

心臓の鼓動が聞こえてきたり、棺のようなケースが並んだ幻想的な部屋があったり、健全な子供なら泣きそうな空間ですが、私はなぜか落ち着きました。

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どこへ行っても人が多かった芸術祭で、すれ違う人の顔を確認できない暗さというのが、作品に必要のない情報をシャットダウンさせるのに好都合だったんだと思います。


次は宿泊施設でもある「夢の家」

こちらもちょっとした毒を持った作品です。

棺のようなベッドに専用のカラフルなスーツを着て横たわるという、奇妙な宿泊スタイル。

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ほかにも、起きたら見た夢を夢の本に書き留めるとか、胸の上に石を乗せて寝るとか、いろいろな指示に従わなくてはなりません。

その宿泊スタイルがそのままアートという感じですね。

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これを手掛けているのは旧ユーゴスラヴィア出身の作家マリーナ・アブラモヴィッチ

夢の家に作品集がありましたが、なかなかに過激な表現が散りばめられていました。

会場にさまざまな指示がカードで貼り付けられていましたが、これがすごく興味深くて、この作家さんに興味が沸きました。

「叫びながら虹に方向に向かって走りなさい」
「興奮状態と熱に効くレシピ 満たされない欲望と朝の光一粒を混ぜなさい」

などなど、なんとなく「それでなにか起こるかもしれない」気がしませんか。

2018年の宿泊予定は終了していますが、泊まってみたい人は公式サイトを確認してください。

最後は「夢の家」の隣にある「エリクシール/不老不死の薬」

ジャネット・ローレンスというオーストラリアの作家さんの作品です。

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薬草などが漬けられた瓶などが並び研究室のようです。

2003年から公開されている作品です。

松之山エリアの作品については以上です。

もちろんもっとたくさんの作品があるのですが、ずっと雨だったこともあって、屋外作品はあまりまわれず、主な室内作品を紹介しました。

次回は、もっとも中心的な役割を果たしている越後妻有里山現代美術館キナーレなど、十日町エリアの作品について記録していきます。