五島列島 現代に生きる隠れキリシタン信仰・後編
残念ながら最初の推薦は、世界遺産の諮問機関であるイコモスから物言いがついた形で推薦を取り下げることとなりましたが、現在再度構成遺産を組み直し、平成30年度の登録に向けて周知活動が展開されています。
最初の推薦に物言いがついた理由は「2世紀以上にわたる禁教期が日本の特色で、そこに焦点を絞ったほうがよい」という旨のものでした。
「(禁教期に焦点を当てるということであれば)私たちの持っているものを見せたら、それで解決した気がするんです」
どういった資料が調査の対象になるのかは知らないけれど、確かにそれらは生きる資料として、重要な役割を果たしそうな気もします。
「そういった打診はあったんですか?」
「いえ、まったくなかったです」
「もし、そういったお話があったら、協力されるお気持ちはお持ちなのでしょうか?」
「たとえば、審議の過程で委員会に協力するということであればね。一般に公開ということでなく、委員会に(見せる、話す)ということなら」
つまり、展示物などとしての提供はできないけれど、実際に今も伝わるものや信仰について限られた人に見てもらうことなら可能だったということです。
なぜそういった打診がなかったのかは私にはわかりませんが、これまで観光への協力を断ってきたことで、隠れキリシタンの協力は得られないと判断するベースがあったのかもしれません。
生活に密着する信仰のかたち
そもそも隠れキリシタンは教会を持たないので、教会の役割を果たすのは帳方の自宅になります。
教会のように一般に公開できるわけもなく、こうしてお話をうかがうことも坂井さん以外の信者の方はどう思われているのか心配な部分もあります。
禁教期より伝わる多くのものは、すべて現在でも祈りに必要なものとして手放せないものなので、どこかの資料館に展示したりすることも無理な話です。
自宅の裏にある井戸で代々洗礼などに使う聖水を汲み、お葬式の日には隣家を借りてお祈りをして祈りの姿を人目に触れないようにするなど、生活の場所と祈りの場を切り離して考えることはできません。
こういった信仰スタイルを尊重しながら、私ももっと理解を深められたらと思っています。
幸せの椿キャンドル
坂井さんの奥様が手作りされているキャンドルを帰りにお土産でいただきました。
ひとつひとつお祈りをこめて手作りされているそうで、ものすごく可愛いんです。
椿のフォルムって和にも調和するので、和室に置いても可愛いと思います。
家に帰って飾っていたら、いくつか並べたい欲求が(笑)
次回訪れたら、ちゃんと買います♪
お近くにご旅行の際には、ぜひ手に取ってみてください。
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2回にわたって隠れキリシタンの信仰について書きました。
坂井さんには貴重な時間をいただけたことを心から感謝しています。
自分のルーツを見直してみようというキッカケにもなりました。
次回は2度目の福江島です。